亡くなってからしたこと
頭が真っ白なのだが、段階を追っていったらあっという間に何もかもが終わっていた。
今考えてみるとすごく大変なことだったので、記録してみる。
ご臨終です。
あのセリフ。
言わないで言わないで、あり得ない、絶対にそんな風に言わないで、普通の人なの!
って思いながらも先生は言葉を言い終わった。悔しかった。
そして次々に管が抜かれていく。輸血、点滴、点滴、点滴。そして酸素マスク。
命を繋いできたものが片付けられていく。
ドラマみたい。他人事のようだった。
体を拭く。
泣きながらも、唯一最後にしてあげられることだ、とそこは結構冷静になり丁寧に丁寧に想いを込めて拭った。少し温かいくらいのお湯で手持ちのタオルを固く絞って拭いた。
くまなく吹かせてもらえるわけではなく、ある程度。
途中からは専門の看護師が遺体を清める。
なりふり構わず、キスしてハグして離れたくない!!!と内心思っていた。
それは叶わず、入院の大荷物をまとめ、霊安室で待機しているよう言われた。
死んだらあっけない。
はい退室です、はい拭いて、片付けて、はい移動。
とそれはあっという間。
看護師さんの口調はみなさん優しいが、実に素早い。あっけない。
さっきまで、生きてたんですよ?
人だったのよ。昨日の夜まで普通だったのに。。。。。
まともな会話はできなかったけど、早めに帰って休んでねって言えたのに。。。。
入院の荷物はすごく多いので片付けも大変。
駆けつけてくれた家族2人と一緒に3人がかりで片付ける。
泣きながらもテキパキと。
入院用のパジャマやTシャツウエストウォーマー、タオルはかわいいやつを選んでいた。少しでも入院ぽさをなくしたかった。明るくしたかった。
狭い病室なのに、旅行カバン3つ分くらい荷物があった。
カートを借りて霊安室へ。
入院のカート、何回押したことか。退院とまた入院と。
霊安室にくる。
地下の立ち入り禁止と書かれた奥の重い扉の向こう。
寒い冬だったけど、さらに寒かった。
担当の礼服のおじさんが出てきて挨拶をして、なにやら説明を受けた。
葬儀屋さんだ。病院専属?の人みたい。
葬儀屋を急ぎ決めて病院に迎えに来てもらわなければいけない。
普段何かを決めるなら、ググって何社か比較して決めるところだが、そんな余裕もない。
葬儀屋は家族の会社の福利厚生関連で割引がきくところがあるとかで、そこに連絡をした。
そうこうして座って待っていると、看護師に連れられて夫が到着。
部屋の奥の方に運ばれた。
白い布をかけられていて、ろうそくとお線香のセットが横に付けられた。
死んじゃった感がいきなりすごかった。
この光景がまたショックだった。祀られた。。。
常に涙が出ていたが混乱してさらにどっと出た。
主治医、担当医、看護師たちが次々に挨拶に来た。
お線香を備えて手を合わせる。
夫に向かって、手を合わせる。
ここでもまた、そんなのやめてよ死んじゃったみたいじゃない。と思う。
そして自分で死んじゃったという言葉にショックをうける。
何度かそれを繰り返して勝手に涙の波ができていた。
最後に主治医から死亡診断書を手渡され、もう一度死因など説明を受ける。
ずっと一緒に立ち向かって来た、病気の憎いこと。
夫の名前と死亡したこと。またショックを受けて泣く。
後列の右側がないワゴン車に夫が乗せられた。
お顔あたりの左隣の席に座る。
『一緒にお家に帰れるね』
死んじゃったけど。。。。。
自分で思ってまた泣いた。
医師と看護師全員が礼をする中で、病院を出発した。
2へ。